高齢社会における看護診断の方向性
第6回日本看護診断学会学術大会

 6月17〜18日,滋賀県大津市のびわ湖ホールを会場に第6回日本看護診断学会学術大会が開かれ,約2,000人の参加があった。

 今回のメインテーマは「高齢社会でHUBとしてはたらく看護診断」。筒井裕子氏(滋賀医科大学)の会長講演も「高齢者ケアにおける看護診断とその方向性」をテーマにあげ,高齢者の特徴を踏まえた診断指標,関連因子をとらえ,介入・成果のマニュアルを構築しなければならないとし,介入の方法として,学生の老人ホームでの実習風景から高齢者への「情意・情動へ働きかけ(刺激を与える)自己効力を高めるためのアプローチ」であるアクティビティケアを紹介した。

 アイオワ大学看護学部主任教授のメディリーン・マース氏の招聘講演は2題あり,「T 看護診断・介入・成果の歴史と展望」では,看護診断の成立と,アイオワ大学でNIC(看護介入分類),NOC(看護アウトカム分類)が開発された経過が述べられた。米国でも日本でも,ヘルスケアの成果の分類とともに,その質について注目されており,介入による成果を文章化し,電子化し,有効性の研究を行ない,看護が行動責任をとることが求められている。
 しかし看護はコンピュータによる情報システム化が遅れており,看護介入の有効性を分析するデータベースもほとんどない状況である。そのため看護は目に見えないものとなっている。標準化された用語と分類によって看護を情報システムに入れることが急がれるが,看護診断やNIC,NOCはそのための看護専門用語の選択肢を提供していると位置づける。そして国家レベルのデータベースに「看護」が入らなければ,行政に影響を与えることもできないという。

 「U 高齢者と看護診断」では,日本と米国との類似点として,65歳以上人口の増加をあげ,それらのケアに対する費用が重要な投資になっているといい,そこにある問題点をあげた。コミュニティベースの保健においては,女性の労働人口が増加し,ケアをする人が減少している。そこに必要な上級実践看護婦(advanced practice nurse)も不足している。その理由としては,@病院の看護は医療の補助というイメージがあり,看護という職業の魅力が減っている,A女性の仕事として他の専門職が増えてきている,B看護研究に対する基金が十分ではない。
 また,医学主導型のヘルスケアが,ウエルネスや予防の軽視を招いてきたともいう。一方で,日本看護協会は就労看護婦の組織率としては世界最大を誇っている(米国看護婦協会ANAは10%に過ぎない)ので,保健政策に影響を与えることができるという。そして「個人」「組織」「政策」の3つのレベルでの事例をもとに,何を実践すべきかの検討をそれぞれ行なった。

 シンポジウムも2題あり「T 看護専門領域における看護診断」では徳島大学医学部附属病院の,また「U 高齢者ケアにおける看護診断」では国立療養所中部病院長寿医療研究センターの,それぞれコンピュータシステム化された実践が関心を集めていた。

 2001年の次回学術集会は横浜市において江本愛子会長(三育学院短期大学)で行なわれる予定である。