希望とともにある"がんサバイバーシップ"
第15回日本がん看護学会学術集会
2001年2月10,11の両日,第15回日本がん看護学会学術集会が,小島恭子会長(北里大学病院看護部長)のもと神奈川県横浜市のパシフィコ横浜・会議センターで開催された。
発表された一般演題は146題(口演116,示説30),約1,600名が参加。いずれもこれまででもっとも多く,癌看護への関心の高まりがうかがわれた。
今回のメインテーマは「がんサバイバーシップ"Cancer
Survivorship"−新しいがん看護の創造を!」。
「がんサバイバーシップ」とは,患者が癌を発病し診断されたときから,その生を全うするまでの過程を,いかにその人らしく生き抜いたかを重視する考えかた。米国の癌患者団体が,新しい癌生存の概念として打ち出したもの。
古庄冨美子氏(前北里大学病院看護部長)による基調講演「生きることをささえる看護」では,病いをもちながらも成長する患者,人が生きていくことのすばらしさについて,みずからの臨床体験を交えて語られた。
古庄氏は,「たとえ亡くなられても,その人が残していったものは数知れない。それをひとりひとりが受けとめ,受け継いでいくことで,世のなかは発展していくのだと考えたい」「人が生きるということは,ひとりひとり違う。その人と向き合い,ともにつくり出す癌看護をめざしてほしい」と,今世紀の癌看護を担う参加者にエールを送った。
また,「生きることをささえる看護」が看護の本質であることを強く訴えた。
2日目に行なわれた養老孟司氏(北里大学医学部)による特別講演「人の生き方と医療の変化」では,現代の情報化社会のなかでの看護の位置づけを俯瞰した。
このなかで養老氏は,
「自分が見ているものを情報化する能力とは,動いている世界を停止したものとして示す力だろう。19世紀以後,科学は生きたものを止める情報処理に終始し,社会はそのなかで変化してきた」
とした上で,
「しかし,情報処理と生きた人間への対応とは違う。私は,情報化社会のなかで,人間を考えるのに看護は,とてもよい場所ではないかと思う」
と語った。
この他,パネルディスカッション「がん看護専門看護師(OCNS)の活動と効果」,シンポジウム「がんサバイバーシップを支える看護」などが行なわれた。
講演やシンポジウムにおける演者の発言に"希望"という表現が多く用いられた。看護が対象の主体性にはたらきかけるときのキーワードであり,また患者・家族の可能性をともなった希望が,メインテーマ"がんサバイバーシップ"だからではないだろうか。
*
2日目に行なわれた総会で,新理事長に小島操子氏(大阪府立看護大学)が選任された。
なお来年は,2月9〜10日,松岡敏子氏(四国がんセンター)を会長により愛媛県松山市で開催される予定。
|