用語の標準化とNANDA,NOC,NICに新しい動きが
第7回日本看護診断学会学術大会
6月21〜22日,パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)を会場に,第7回日本看護診断学会学術大会が,約2,000人の参加者のもと開かれた。
メインテーマは「21世紀−看護診断・介入・成果の実証」。
会長講演では江本愛子会長(三育学院短期大学)が,わが国での看護診断は学会の活動とともに発展し,理念や導入を論議することから実証の時代を迎えたと語るとともに,次のような課題をあげた。
北米看護診断協会(NANDA)が看護診断を専門職看護婦の独自の機能として位置づけ,他の学問領域と区別した知識体系を構築,医学診断とは異なる用語を用いた。
しかし,カンファレンスなどで「身体可動性の障害」という診断名だけではリハビリチームは動けないということから,他の専門職と共有できるコミュニケーションツールとするため,保健医療システムや文化に即して検証する必要がある。また臨床判断を高めるための看護診断教育のありかたについても触れられた。
招聘講演はボストン大学教授で2000年4月まで北米看護診断協会理事長を務めたドロシー・ジョーンズ氏。「標準看護用語への動きとその背景」と題し,看護診断をめぐる国際的な動きを解説した。看護診断は現在,北米だけではなく,フランス,メキシコ,日本など,国際的にも広がっている。またNANDA,NIC,NOCの3Nによる協同での活動がはじめられており,2002年4月10〜13日には,第1回NNN共同学術会議が米国のシカゴで開かれる。また米国の各種団体が集まって用語サミットが開かれたことや,ICNP(看護実践国際分類)の動きも紹介され,国際的な看護用語の標準化への展望が語られた。
また2日目の特別教育講演にはロマリンダ大学教授のパトリシア・ジョーンズ氏が「統合性:パーソナルホールネス理論に向けて」と題し「霊的安寧促進への準備状態」の診断指標の"Personal
Wholeness"(人間の全体性)に深くかかわる「結合性」について語った。またスピリチュアルなニーズに対して現在は宗教的かかわりしかなされていないが,宗教によるその概念は狭く,看護によるスピリチュアルケアへのニーズがあるのではないかと語る。
フォーラム「看護診断・介入・成果−今日の焦点」では,川村雅文氏(慶應義塾大学医学部呼吸器科)がクリニカルパスの作成にあたって看護職が出した資料が,看護診断用語で書かれていたため,意味が分からなかったと語り,チーム医療のためには基本的に他職種が見ても分かるようなものにする必要があるのではないか。また医学用語の肺炎は,看護職でも患者・家族でも分かる言葉になっている。看護診断用語は包括的すぎる,と語った。
上鶴重美氏(国立看護大学校)は,現在開発している診断用語は概念として抽象度が高く,理論の学習なくしては理解できないものである。違和感があるものに関しては,日本の文化になじむものを開発する必要がある。しかし,医学用語でも「肺炎」のように理解しやすい用語がある一方で,理解しづらいものもある。看護学が学問分野として成立するためには,使いやすい独自の専門用語の開発が必要で,それのない専門分野はない。抽象性がないと科学性をもてない。今後,抽象度の高い診断名から,より具体的なものが開発されていくはずだと語る。
山下美由紀氏(山口大学医学部附属病院)は,厚生省から「患者に対する質の高い医療に貢献する」とすすめられているカルテの電子化と看護診断について語った。電子化にあたっては,看護婦のアセスメント能力を落とさないためにも,データ入力からの自動診断はせず,看護婦みずからが,観察したことや,検査データ,医師の診断などからアセスメントし診断名を導きだし,ワープロ入力するようにしているという。ICNPの動きもあり,国家レベルでの用語の標準化が望まれるとも語る。
岡谷恵子氏(日本看護協会)は,ICN(国際看護婦協会)がすすめているICNPについて,1999年ベータバージョンが出されており,翻訳もすすめられているという。現在約2,400語が,看護現象,看護行為,看護の結果という3つの局面で分類されている。看護実践を表わす国際的な共通言語体系をめざし,WHOの国際疾病分類(ICD-10)や国際障害分類(ICIDH-2)を目標としているという。
他に事例セッション,6つのテーマに別れた交流セッションなど,多彩な内容の2日間だった。
次回の第8回学術大会は,2002年7月19〜20日,青森市文化会館で,新道幸惠会長(青森県立保健大学)のもと開かれる予定である。
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