遺伝看護と看護倫理に注目
第21回日本看護科学学会学術集会

 2001年12月1〜2日,神戸国際展示場(兵庫県神戸市中央区)他を会場に第21回日本看護科学学会学術集会が開催された。
 参加者は約1,900名。

 会長講演で片田範子氏(兵庫県立看護大学)は「看護の倫理性」について語った。
 看護において倫理的行動が困難な状況として,医師との関係,患者の思いと家族の思いの違い,看護者間の関係,看護者自身の能力と業務の困難さなどをあげ,基礎教育の課題として,座学ではない実際的な教育のありかたを問いかけた。

 シンポジウム「看護実践における倫理性−遺伝子診断・治療における看護の役割」では,シンポジストのひとりであるジャネット・K.ウィリアムズ氏(アイオワ大学)が,1990年からヒトゲノムプロジェクトに取り組まれるようになり,看護活動にも影響を与えてきたと語る。
 遺伝子診断により分かったことで就職などができなくなるという「遺伝差別」が現実のものとなり,遺伝の専門看護師による患者のプライバシーの保護や真実を告げる役割が注目されているという。
 ウィリアムズ氏自身が長く遺伝専門看護師として活動し,国際遺伝看護学会会長などを歴任した経験もあり,看護職による遺伝カウンセリングの重要性が述べられた。

 また,今回企画された看護と市民をつなぐ「市民フォーラム」でもウィリアムズ氏は遺伝看護について市民にも分かりやすく講演した。
 他にシンポジウム「看護研究の方法論と倫理」では研究過程における被験者のプライバシー保護などの倫理面について話し合われた。
 一般演題では,臨地実習における事故の問題や,事故防止のための業務分析など,リスクマネジメントに関する演題と,研究・実践における看護倫理に関する演題が「30分セッション」として時間枠を広げて行なわれた。
 また,「遺伝看護教育に向けての課題」など13題の交流集会も開かれた。

 なお,次回第22回の学術集会は菱沼典子会長(聖路加看護大学)で2002年12月6〜7日,東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開かれる予定である。
 また同時に開かれた同学会総会で,2003年の第23回学術集会の会長に川野雅資氏(三重県立看護大学)が選ばれた。
 また,同学会の理事長が中西睦子氏(神戸市看護大学)から村嶋幸代氏(東京大学)にバトンタッチされ,副理事長に今回の会長である片田氏が選ばれた。