看護診断とコンピュータ化の方向性
第8回日本看護診断学会学術集会

 2002年7月19〜20日,青森市文化会館(青森県青森市)を会場に,第8回日本看護診断学会学術集会が「看護診断と情報科学−ケアとテクノロジーの出会い」をメインテーマに開かれた。参加者は約1,300名。

 会長講演で新道幸惠氏(青森県立保健大学)は,看護診断の開発は質の高いケアのためにされているが,そこには当初から情報システム化の契機があった。そして看護診断のIT利用はケアの効率化,均質化,省力化につながると語った。

 招聘講演は2題あり,『事例に基づく看護診断の正確性の検証』(ブレーン出版)の著書もあるMargaret Lunney氏(College of Staten Island)は,行為は解釈によって決まると,正しい看護診断の必要性を説く。
 特にそこでの看護師の資質に触れ,@対人関係(患者との関係),A技術(アセスメントスキル),B知性(知識,思考プロセス),の3つをあげた。またケーススタディにおいて,同一の事例に対し80名の看護師が46にも及ぶ異なった解釈をしている例をあげ,正確な看護診断をするために,看護師の思考についての考察が必要であることを示した。

 看護師が正確性を獲得するためには,@優れたアセスメントスキル,A患者の協力,Bクリティカルシンキング能力,C看護師同士の協力,が必要であるという。

 もうひとつの招聘講演では,Judy Ozbolt氏(Vanderbilt University)が,バベルの塔の例を示しながら統一的用語の必要性を語り,その用語開発のありかたを解説した。

 シンポジウムでは「看護管理と看護診断」をテーマに,大森綏子氏(関西労災病院),吉岡みち子氏(島根医科大学医学部附属病院),青柳明子氏(北里大学東病院)が,それぞれの施設での看護診断の取り組みをコンピュータシステムとの関係で語り,美代賢吾氏(神戸大学医学部附属病院療情報部)が情報システムを看護管理,看護診断でどう生かすかを語った。
 話し合いのなかで,情報開示にあたって看護診断用語をどう使うかに関して,ケアの一環として看護師が患者に分かる言葉に翻訳することが必要,また看護診断用語が一部の医学用語が一般化しているのと同じように,一般化する努力をすることも必要という意見が出された。

 事例セッションでは黒田裕子氏(日本赤十字看護大学)が座長で,急性期,慢性期,終末期,リハビリ期の4つの事例をもとにNANDA,NOC,NICを考えるグループワークが3時間にわたり行なわれた。

 他に,江川隆子氏(大阪大学医学部保健学科)がタキソノミーUの解説をした教育講演をはじめ,5つのテーマに分かれた交流セッション,2つのテーマのワークショップなどが開かれた。

 次回の第9回学術大会は,小田正枝会長(西南女学院大学)で,2003年6月14〜15日,福岡国際会議場(福岡県福岡市)で開かれる予定である。