看護実践の拠りどころ
第28回日本看護研究学会学術集会
2002年8月8日,9日の両日,パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)において,第28回日本看護研究学会学術集会が開催された。
テーマは「Linkage リンケージ-看護実践の拠りどころとなる研究」で,全国よりおよそ1,800名が集った。
会長講演「看護実践・教育における対人関係論の活用−40年間の歩みをふりかえって」では,池田明子氏(北里大学看護学部)が看護における個人的体験と,日本の看護実践・教育に適応されてきた米国生まれの「対人関係の看護論」の40年間の変遷とを重ねながらすすめられた。
池田氏は自身の40年の歩みを,
第1期(1960年代):看護者・患者関係論としての対人関係論の導入期,
第2期(1970年代):卒後教育への対人関係論の浸透期,
第3期(1980年代):看護基礎教育における対人関係論の拡散期,
第4期(1990年代):看護実践の技(Art)としての対人関係技能の教育訓練期に分けて,対人関係論の活用に関する日米の歴史的隔たりなどについて述べ,またその活用について問題提起がなされた。
特別講演では,養老孟司氏(北里大学大学院)が「脳化社会とエコロジー」をテーマに語った。
19世紀後半から科学が時代をリードしてきた。
医療の分野でも,現代社会では医師がデータを集めることは合理的,科学的といわれている。
養老氏は,それを否定するものではないとしながらも,このような考えかたにいくつかの疑問を投げかけた。
たとえば現在の医学はまず検査をし,データをとり,その情報をもとに予測する。
しかし実際には物事すべてが,その確率通りではない。
検査データなどの情報は"今,現在"からみれば,過去のある時点のものである。しかし,看護職の役割を考えたとき,看護職が相手にする人間は「現在進行形」の存在である。その意味で検査データなどの情報の対極にあるのは,ひたすら動いてやまない「われわれ自身」であり,どうやって最上の生きかたをするか,そのためには理解,共感,共鳴が必要なのではないかと指摘する。
教育講演は,グレッグ美鈴氏(岐阜県立看護大学)の「看護研究における倫理的な課題」,木下康仁氏(立教大学社会学部)の「質的研究の方法論を問う−グランデッド・セオリーに焦点を当てて」,紙屋克子氏(筑波大学大学院)の「生活援助技術の開発−研究成果と実践への活用」の3題。
他に,シンポジウム「実践・教育・研究のリンケージ」,鼎談「看護専門職を育てる効果的なシステム」などが行なわれた。
交流セッションも「看護におけるコンピュータ活用」など4つのテーマに分かれて行なわれた。
一般演題(口演・ポスターセッション)も300題余り発表され,それぞれの会場で活発な意見交換がされていた。
なお,次回(第29回)は,2003年7月24日〜25日,大阪国際会議場(会長:早川和生・大阪大学医学部保健学科)にて行なわれる予定である。
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