ライフサポーターとしての看護の充実を
日本看護協会平成15年度通常総会

 2003年5月21日〜22日,大阪府・大阪城ホールにおいて,日本看護協会平成15年度通常総会が開かれた。また23日には,保健師職能集会,助産師職能集会,看護師職能集会がそれぞれ開かれた。

 通常総会には,全国より代議員を含め4,600余名が出席した。

 今回は,開催地がSARSに感染した台湾医師の旅行先であり,それも安全宣言が自治体から出される前であったため,会場内でもポスターなどで注意がうながされていた。
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 南裕子日本看護協会会長は,あいさつのなかで,厚生労働省の「看護師等によるALS患者の在宅療養支援に関する分科会」による,在宅ALS患者の喀痰吸引を家族以外の非医療職者(ヘルパーなど)へ3年間の時限措置として認めることに関して触れた。
 そこでは,看護師の業務独占に抵触しかねないとしながらも,現状では看護師が十分な対応ができてこなかったことであり,3年の間に訪問看護の拡充など,看護の体制づくりが急務であるとした。

 また厚生労働省による臨床経験通算10年以上の准看護師への通信制による進学課程に関しては,歓迎の弁とともに,各県1校をめざして各方面に働きかけていると述べた。

 理事会や審議委員会などの報告に続き,提出議題の審議が行なわれた。

 第一号議「名誉会員の推薦」の後,第二号議案「平成15年度スローガン」では「21世紀,国民の信頼に応えるライフサポーターをめざしてネットワークする看護職。」がスローガンとして3年目になることもあり,もっと具体的なものに,という意見が出される一方,スローガンが国民に理解されるよう努力していくべきとの意見も出された。

 第三号議案「平成14年度事業報告」,第四号議案「平成14年度決算報告及び監査報告」はつづけて報告された。看護賠償責任保険制度に関して運用件数などについて質問がされ,実際に支払われたケースは,まだないとの回答がされた。

 第五号議案「看護制度改革推進について」では,南会長のあいさつでも触れられた看護師学校養成所2年課程(通信制)を促進することが執行部より報告された。当初は7校の開校予定だという。会場からは,来年度からのことでもあり,より具体的な情報を提供してほしいという意見が出された。

 第六号議案「訪問看護・在宅ケアの推進にむけて」では,訪問看護ステーションは約5,500開設されているが,その従事者は3万人弱であり,病院・診療所からのものを合わせても全国で34万人程度にしか在宅でのケアが提供されていない。10万人程度の看護職が必要とされているこの分野で活性化をはかると報告された。

 つづいて第七号議案「認定看護師教育の拡大」,第八号議案「平成15年度事業案」,第九号議案「平成15年度収支予算案」が報告された。それぞれ審議のもとに全9議案が可決された。

 今回は,役員改選も行なわれた。当選した南会長は3期目を迎える。主な当選者は以下の通り。

 会長:南裕子氏。副会長:阿部俊子氏,新藤幸惠氏。保健師職能理事:池田信子氏。常任理事:廣瀬千也子氏,楠本万里子氏,山崎摩耶氏。監事:井部俊子氏。

 建築がすすめられている日本看護協会新会館は来年3月の竣工予定との報告もされた。
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 看護師職能委員会では「これからの看護への期待」をテーマにしたシンポジウムが開かれた。

 シンポジストのひとり河野龍太郎氏(東京電力株式会社技術開発研究所ヒューマンファクターグループ)は,自身の航空管制官の経験などから,エラー防止の視点から医療現場を見て,危険性が高いことを指摘する。
 医療システムは人間の介在なくしては成立し得ず,人間の介在が多くなるほどシステムは脆弱になるとし,原子力発電,航空機,航空管制などに比較して医療は,@エラーの要因が他の分野に比べ多い,Aエラーの発見やエラーを防ぐ仕組みである防護壁が薄い,B管理が不十分,の3点を指摘した。

 「気をつける」や「注意せよ」といった精神論に頼らず,産業界での事故解析で得られた事故におけるヒューマンファクターの重要性を認識し,エラーの少ない環境づくりをするべきだと力説された。