クリティカルケア看護の専門性をめざす学会設立
−日本クリティカルケア看護学会設立総会
2004年10月17日(日),日本クリティカルケア看護学会設立総会が東京慈恵会医科大学中央講堂において開催された。クリティカルケア看護領域の歴史は古く,近年,救急看護・重症集中ケア看護の認定看護師の誕生も見,その需要は益々高まっている。そんな折,クリティカルケア看護に携わる看護職が主催・運営する学会が設立する運びとなった。
今学会設立委員長の井上智子氏の設立の挨拶に続き,同氏による「蓄積から挑戦へ」と題した学会設立記念講演が行なわれた。今,クリティカルケア看護を考える柱として,治療・診療区分(外科学,手術),疾病・病態区分(がん看護),ケアの場の特徴(ICU,CCU,NICU),ケアの特徴・本質(クリティカルケア看護)をあげ,あらゆる治療・療養の場,病期,病態にある人びとに対応するとした。また,今までになかった治療法の出現・倫理的問題,治療先行・量的効果の重視,医療提供システムの高度化・専門分化,テクノロジーと不可分,などクリティカルケアでの医療の特異性を示し,クリティカルケア看護学会として,専門性の追求,専門領域の確立,複合領域との連携,専門性と学際性の統合,社会貢献や発言など視野に入れながら,ケアリングの重要性とその存在がクリティカルケア看護の中核として重要であることを述べられた。
続いて設立記念パネルディスカッションが「日本クリティカルケア看護学会に期待すること」をテーマに松月みどり氏(日本大学医学部附属板橋病院)の司会のもとで行なわれた。パネラーは杉澤栄氏(神奈川県立こども医療センター):重症集中認定看護師の立場から,北村愛子氏(りんくう総合医療センター市立泉佐野病院):クリティカルケア看護専門看護師の立場から,深谷智恵子氏(東京慈恵会医科大学):設立委員の立場から,山嵜絆氏(町田市民病院):看護管理の立場から,中西睦子氏(国際医療福祉大学):看護教育の立場から,とそれぞれ問題提起された。
杉澤氏は,5年間の認定看護師としての活動から,クリティカルケアに携わる人々との情報交換やクリティカルケア領域における看護研究の質向上,問題点の解決に寄与したい旨述べた。北村氏は学会に期待するものとして,クリティカルケア看護領域の専門性の確立を,深谷氏は,クリティカルケア看護は,ICU,CCU,救命センターなど集中治療の場で発展し,最初は臨床の場で医師によって育てられ,その後,卒後教育機関でICU,CCU看護としての教育が行なわれたことなど話された。また,山嵜氏は救急のなかで多い過量服薬患者へのクリティカルパスパッケージでの対応の経緯を,中西氏は,ナースは身体のことを良く知っているケアの専門家であるとし,マルチ機能を要求される領域としてのクリティカルケア看護の今後の期待を述べた。
会場とのディスカッションでは,ナースのフィジカルアセスメントの重要性,職場の人間関係,ケア提供者のストレス管理など活発な意見交換も行なわれ,設立総会の意気込みが感じられる総会であった。
なお,第1回学術集会は2005年7月2日,タワーホール船堀(東京都江戸川区)で開催される予定である。 |