定着させようNANDA看護診断
―NANDA-NIC-NOCの実用可能性を探る―
第11回日本看護診断学会学術大会

 7月23日,神奈川県・パシフィコ横浜において第11回日本看護診断学会学術大会が約2,400名の参加を得て開催された。メインテーマは「定着させよう NANDA看護診断」。

 黒田裕子氏(北里大学看護学部)は,会長講演「定着させようNANDA看護診断−NANDA-NIC-NOCの実用可能性を探求する―」で,今大会時期に,『NAND−定義と分類2005-2006』が発行・邦訳されたことに触れ,1.看護診断用語をはじめとする看護実践用語がなぜ必要なのか,2.看護実践用語としてNANDA看護診断をわが国に定着させることの意義,3.NANDA-NIC-NOCの実用の可能性と課題の3つの視点で,昨今の電子カルテ時代に,実用化に向けた看護実践を表現する“言語”の必要性を語った。

 招聘講演TではNANDAインターナショナル理事長・クラフトローゼンバーグ博士が「NANDAインターナショナル―現在と将来の展望―」と題して,現在のNANDAインターナショナルの意義として,診断過程は注意深いアセスメントに基づいている,診断用語は人々が体験していることを識別する,妥当な診断は国際的視野と質,提案に基づいているとし,NANDAインターナショナルは北米の組織ではなく国際的組織となり,組織構造そのものを考え直す必要もでてきたことなど語られた。

 招聘講演Uでは,NIC-NOCセンター長・ムーアヘッド博士が「看護介入を記述する用語分類―看護介入分類(NIC)―」のテーマで米国の保健医療を取り巻く状況から,電子記録における用語の標準化の必要性,電子記録に向けた看護ニーズの用語開発,電子記録化にむけた看護のニーズについて語られた。そしてあらためてNIC(看護介入分類)は看護者に向けた,看護師の役割に焦点をあてたものでで,看護介入の概念化,すなわち標準化された用語であり,看護師の実践する行為に名前をつけ表現したものであることを述べた。

 続いて行なわれたシンポジウムT「NANDA看護診断の定着を目指す―課題と展望―」は五藤陽子氏:北里大学東病院におけるNANDA看護診断の使用,上田順子氏(旭川医科大学医学部附属病院):NANDA看護診断を活用した看護実践と課題,原田博子氏(萩市民病院,欠席のため代理:司会の山勢博彰氏):紙カルテから電子カルテ導入後の看護診断活用の実際,村田節子氏(宮崎大学医学部看護学科):今一度「どうしてNANDA看護診断が必要か?」を考える,の視点で各施設でNANDA看護診断の活用の状況を問題提起された。それぞれ導入の時期は異なるが看護診断をどう浸透させていくか,ソフト面の人材育成にさまざまな工夫があったこと。院内検討会や研究会を立ち上げ,ナースの背景の違いをカンファレンスで統一し,診断をつけることより患者の全体像を捉えることに苦心したこと(五藤),やはり定着を目指すための院内教育の前段階の課題としてナースの背景の違いを踏まえ,院内看護師長研修から各看護単位に浸透させていった過程(上田)などが語られた。また,村田氏は看護のことばとしての看護診断に,私たちは何を記録として残したいのかを考え,300余名の臨床ナースや学生の看護診断に対する調査を踏まえ,今改めて診断以外の看護用語も含め,他職種にどこまで理解されているかを考える必要のあることなどを述べた。

 他に教育講演,レクチャー,ワークショップ,事例・交流セッション,多数の一般演題など,11年目に入った看護診断学会の成熟を感じさせる学術大会であった。

 次回の第12回学術大会は,大島弓子会長(愛知県立看護大学)で,2006年6月24〜25日,愛知県名古屋市の名古屋国際会場で開催される予定である。