成熟社会での看護の方向性を語り合う
第18回日本看護科学学会学術集会

 1998年12月3〜4日,北海道厚生年金会館などを会場に,第18回日本看護科学学会学術集会が行なわれた。例年より早いという札幌の雪景色のなか,全国からおよそ1,700名の看護職が集まった。メインテーマは「成熟社会における看護学のデザイン」。

 初日の会長講演は「多様な職種間連携の脅威と刷新」をテーマに,中島紀恵子氏(北海道医療大学)により行なわれた。中島氏の高齢者,特に痴呆のある患者とのかかわりを紹介し,コーディネーターの役割や,介護におけるさまざまな職種間での連携に必要な能力などが語られた。

 また,シンポジウムTは「文化に根ざした実践知の鉱脈−看護学をデザインするために」をテーマに行なわれた。
 Underwood,P.氏(兵庫県立看護大学)は,看護実践を発展させ続け,文化を超えて伝えることができるようにするためには,(言葉で表わしにくい)含蓄的知識を明瞭な知識に変えるよう努力しなければならないと述べる。
 また阿保順子氏(北海道医療大学)は長年精神科の看護に携わってきた経験から,"暗黙の了解"が実践知に至る経過を,田中靖代氏(豊橋市民病院)は嚥下障害患者の「食」を通して,日常生活を支える看護実践を具体的に紹介。
 能條多恵子氏(札幌麻生脳神経外科病院)は,遷延性意識障害患者へ,主に生活行動援助を通してアプローチすることの意味を訴えた。それぞれの立場から,実践現場での"知"を掘り起こし,看護学へとつなげ,普遍化していくことの重要性が述べられた。

 そのほか「看護における『時』」「看護実践から政策へのエンパワーメント」をテーマにしたシンポジウムと特別講演,交流集会やワークショップが開かれ,44群にわたる一般演題が発表された。

 第19回日本看護科学学会学術集会(矢野正子会長)は1999年12月,静岡県で開催される予定である。