市民と医療者のコミュニケーションの新たな時代
'99看護の日・看護週間中央行事「看護フォーラム」
5月15日,よみうりホール(東京都千代田区)にて「'99看護の日・看護週間中央行事『看護フォーラム』」が,「開かれた医療・開かれた看護−患者・市民とのコミュニケーション」をテーマに開かれた(主催:厚生省,日本看護協会)。600人を超える参加者だった。
国連開発計画親善大使に選ばれた女優の紺野美沙子氏が,みずからの出産経験から看護との出会いを語るなど多彩な内容。中でも「セカンドオピニオン」がテーマの中心になったパネルディスカッションは,医療者と市民のコミュニケーションの新たな局面として,会場の関心も高かったようだ。
パネリストの向井敏氏(文芸評論家)は昨年2か月の入院生活を送った経験から,インフォームド・コンセントを受けたが,どう判断してよいか分からなかった,患者も勉強していないと判断できないと語る。
養護教諭,看護教員の経験もある中村民世氏は「セカンド・オピニオンを推進させる会」を設立。市民の相談を受け,専門医の紹介をしている。相談のうち2割がセカンド・オピニオンの適応であり,その半分が実際に受けている。受けていない人がいるのは,最初にかかった医師との人間関係が壊れるのを気づかい,検査データを借り出せないため。また,受けた人のほとんどが最初の診断と同じだったが,安心でき満足できたという。
一方で,胃癌と診断された人が,何期の癌か主治医にたずね「そんなこと聞いてどうする」といわれたなど,8割近い人たちが「主治医は話し合ってくれない」といい,ファースト・オピニオンも受けていない状況もある。気兼ねをせずに話せる環境を整えることが必要だと語る。
新居昭紀氏(聖隷三方原病院院長)は,患者には自己決定権があり,病気は自分で治すもの,そのためにはインフォームド・コンセントは不可欠であるという。もちろん癌やエイズのようなマイナスの情報も伝えなければならない。新たな検査や治療を行なうときは,後で患者や家族が確認できるように口頭だけではなく説明の用紙をわたし,そのうえで同意書をつくる。
また,クリニカルパス,カルテなども開示し,どういう治療をすれば,どれだけの費用がかかるかまで患者に分かるようにしている。セカンド・オピニオンに関しては医師側からすすめるようにしている。患者が主治医に遠慮していいだせないとの配慮からだが,それでも求める人は少ないという(セカンド・オピニオンに関しては,「看護実践の科学」1998年11月号,p.47-51の新居昭紀「インフォームド・コンセントからセカンド・オピニオンへ」に詳しい)。
日本看護協会副会長でもある井部俊子氏(聖路加国際病院副院長・看護部長)は「インフォームド・コンセントの在り方に関する検討会報告書」や医療法におけるインフォームド・コンセントの位置づけなどの解説をした。
パネルディスカッションの最後には「医師にかかる10箇条」が読みあげられるなど患者の意識も変わらねばならない点もアピールされた。
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