科学としての看護を問う
第19回日本看護科学学会学術集会
1999年12月3〜4日,静岡県コンベンションアーツセンターGRANSHIPにおいて,第19回日本看護科学学会学術集会が開かれた。参加者は約2,000名。
メインテーマは「看護・今世紀の大いなる遺産と次なる提言」。1000年代最後の年に,過去を省み未来を見すえようというもの。
会長講演では矢野正子氏(静岡県立大学)が「新聞で見てきた看護50年」と題して,戦後の50年間における看護に関する新聞記事の件数の年次推移から,社会の動きと看護との関連を問いかけた。そこでは看護争議が盛んな1969年と,かけ込み増床,3K職種と騒がれた1990年代とに2つのピークがあるという。
特別講演「医療と医学のはざま」では村上陽一郎氏(国際基督教大学)が,自然科学の特徴としての「自然界に生起するすべての現象を,<もの>の振るまいとして記述し,説明する知的営為」を取り上げ,19世紀以降,科学が<こころ>を排除してきた経緯を述べ,医学が科学的であろうとすればするほど,人の全体像から遠ざかり,いわゆる臓器別の医療に陥っていることを指摘,そして看護も同様の道を歩んでいるのではないかと語った。
シンポジウムは2題企画され,「今世紀,看護が残したもの」では,近代から現代にいたる看護の成果が語られ,「これからの看護への提言−中長期的展望のもとに」では,高齢化,少子化などの現状の問題点をふまえながら,量から質へ向かわなければならない看護の21世紀への展望が語られた。
また,今回は「クリティカル・パスとアウトカム」「インフェクション・コントロールと看護」をテーマにした参加人数を制限してのワークショップ,「看護における電子教材の活用」など7つのテーマに分かれた交流集会が開かれるなど,より対話の場を意識した構成がとられた。一般演題も281題にのぼり盛会であった。
今後は2,869名の会員を擁する学会として法人化も予定されている。
次回,第20回学術集会は川村佐和子会長(東京都立保健科学大学)で,2000年12月15〜16日に東京もしくは横浜で開かれる。
また12月3日に開かれた同学会総会で2001年の第21回学術集会は片田範子会長(兵庫県立看護大学)で開かれることが承認された。
|