2019年3月号掲載
物見遊山のフラヌール または聴かずに死ねるかクラシック その13
中木 高夫 看護ウォッチャー 
パリ②

早朝のパリからノルマンディ地方,モンサンミッシェルまでのツアー,サントゥスタッシュ教会への散策で知のスリルを満喫のフラヌール。五感を刺激するパリ日記,ますます快調。


11月24日(金) モンサンミッシェル
 パリ3日目の朝は6時起き。ギャラリー・ラファイエットの前に7時半集合。外観は普通のデパート風ですが(写真1),なかはすごいらしい(写真2)(帰って来てから知りました)。集合時間の15分前に行ったのにほとんどの人が集まっていました。全員日本人です。ガイドさんも日本人の男性。
写真1 ギャラリー・ラファイエットの外観
写真2 ギャラリー・ラファイエットのなか
 バスは高級観光バスです。運転手さんは交代を含めて2名。バスが発車する時刻はまだパリは夜が明けていません。バスが動き出して最初の作業がWi-Fiの接続。そら便利ですやろな。モンサンミッシェル到着まで4時間半。道中,退屈しないようにと旅行社の広告に載っていました。東京-名古屋間ほどの距離らしいですから。しかし,ぼくのまわりの人はかなり眠ってましたよ(笑)。
 途中休憩が1回。ノルマンディ地方の小さな街に立ち寄るのがこのツアーの売りです。ポン・レヴェックという街です。まずお土産屋さんに寄ってトイレ休憩。この街はノルマンディ地方の三大チーズの1つの産地のポン・レヴェック(Pont l’Eveque)。ほかの2つは有名なカマンベール(Camembert)とリヴァロ(Livarot)。ノルマンディ地方に入ってからはとにかく放牧されている牛が多い。それと羊。林檎の木もたくさんある。シードルやカルバドスといった林檎からつくるがお酒も有名。シードルは飲みつけているので,木箱に入ったポン・レヴェック産のチーズ「カレ・ドージュCarre d’Auge」を購入(娘宅に帰って食べたところ,カマンベールよりチーズらしい,しっかりとした味わいでした)(写真3)
写真3 おみやげに買ったチーズ
 モンサンミッシェルの対岸に着いて,昼ごはんはレストランで前菜が名物のオムレツ。巡礼者に手早く出せる料理として考案されたということです。しっかりクリーム状に泡立て,表面が固まるまで焼いて2つ折りにした感じです。メインはポークソテーの林檎ソースかけでしたが,これはとくにうまいものではありませんでした。ポークより羊のほうがこの地方らしいと思います。デザートは林檎のタルト。まあ,こんなものでしょう。飲み物は別会計でシードル酒を頼みました。ガレットにつきもので,京都の三条通り商店街のガレットのお店「ブレッツカフェ」で飲むのと同じラベルでした。

* * *

 モンサンミッシェルは土手状の遊歩道で対岸と結ばれていたのですが,環境破壊につながるということで2006年に土手が壊され,橋状の遊歩道に代えられ潮の流れが昔に戻されました。対岸からは電気バスで送迎されます。引き潮だったのですっかり干潟でしたが。
 モンサンミッシェルの「モン」は丘,「サン」は聖,「ミッシェル」はミカエル,大天使聖ミカエルの丘のうえに建つ修道院のことです(写真4)
写真4 モンサンミッシェルと遊歩道
最初は小さな修道院だったのですが,だんだんと大所帯になり,大きくするには丘に積み上げるしかないということでだんだんと上に伸びていきました。教会建築史上では何世紀にもわたる様式の変化が1 か所で見られるという意味で貴重らしいです。イギリスとの戦争では,第2 次世界大戦のノルマンディ作戦があったように,最前線に位置するため城砦としての機能も果たしていました。
 しかし,中世以来の姿が残っているだけで,そういうものを見慣れているとそんなに新鮮なものではありません。でも,ケルン大聖堂みたいな駅前教会ではなく(駅を降りたらもう教会がそびえていて,ワクワク感がないことおびただしい!),巡礼者が「ああ! あそこにモンサンミッシェルの姿がある!」「だんだんと近づいてくる」というような感慨はありました。
 帰りの高速道路で交通事故が発生していて,帰ってきたら10時。ホテルに入って手を洗ったら10 時半。ホテルの向かいのLe Mussetというカフェで魚のスープと鶏を焼いてクリームソースをかけたのを食べました。

11月25日(土) サントゥスタッシュ教会
 パリ2日目。今朝は寝過ごしました。
 今朝は十分に時間があったので朝ごはんをたっぷりと食べて,サントゥスタッシュ教会に向けて出発しました。Googleマップで見当をつけていたので場所はすぐにわかりました。古い大きな教会です。ノートルダム大聖堂やマドレーヌ教会のように有名ではありませんが,昔からのあこがれの教会でした。
 というのも,ベルギー出身の指揮者アンドレ・クリュイタンスはフランス音楽の大家ですが,数ある名演奏のなかでもフォーレの「レクイエム」は定盤といわれています。この録音のまえに,最初にフォーレの「レクイエム」を録音したのがサントゥスタッシュ教会管弦楽団と聖歌隊とだったのです。ステレオで再録音したのは大物風でちょっと仰々しいのですが,この旧盤は宗教的雰囲気満点と音楽好きには通っています。
 教会は残念なことに修理中で外観の全景は見られませんでした。見える範囲でも壮大なものです。中は3 つに分かれていて,少し時代様式が違うみたいです。キース・ヘリングという現代美術家のオブジェがあったりして,なかなかほほえましい(写真4)
写真5 サントゥスタッシュ教会のキース・ヘリング
 サントゥスタッシュ教会をあとにしたらかなりの雨。近所のパッサージュで雨やどり。雨が小やみになったので近所を歩いたら,まるでリトル・イタリアとでもいうような通りがあって人がいっぱいです。土曜日のパリは家族づれでご飯でも食べに行くのでしょうか。
 パリはなぜか食べ物屋が多い! 誰が食べるのかしらと思います。それと中華料理はあまりなく,やたら日本食堂が多い。まともそうなラーメン屋は20人近く並んでいます。東洋系の顔ばかりでなく,西洋風の顔もたくさん。まるで東京のラーメン屋さんです。
 街を歩き回って,15時頃ホテルで休憩。昼ごはんにサンドイッチとエクレアを買ってきました。

おすすめのYouTube

今日のおすすめYouTube はフォーレの「レクイエム」ですね。レクイエムは「死者のためのミサ」の入祭唱で「主よ,永遠の安息を彼らにあたえ,絶えざる光でお照らしください」と祈るときの最初の言葉です。 残念ながらクリュイタンスの最初の録音はアップされていないようですが,名演の誉れ高い2回目の録音はアップされています。「faure requiem cluytens」で検索してください。 「Gabriel Faure-Requiem-Andre Cluytens[432Hz]」がそうです。
※紹介したYouTubeが削除されていることがあります。

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