2019年7月号掲載
物見遊山のフラヌール または聴かずに死ねるかクラシック その17
中木 高夫 看護ウォッチャー 
パリ⑥

「パリ・ミュージアム・パス」「オーディトリアム・コンサート」「地下鉄5日券」,たのしく,便利な情報もお届けいただくパリ日記。佳境に入り,さらに快調。今回は大人気のオルセー美術館リポートです。お楽しみに。


11月28日(火)
 パリ7日目。9時半から開館のオルセー美術館に行きました。列は10名くらい。ルーブルと比べるとかなり少ない。あまり待つことなくなかへ。なかは金属探知機が2台。早いはずです。
 パリ・ミュージアム・パスというのを買っていたので出すと,開始年月日を書いていなかったので日付印を押されました。ルーブルの分を得して,今日から4日間有効。何回でも出入りできるし,どの美術館でもほぼ共通で使用可能です。これと地下鉄5日券は便利です。
写真1 オルセーの広大な空間
 なかに入るとなんということでしょう! ガラス張りの丸天井に10階くらいの空間が覆われ,すごく広い空間がつくられていました(写真1)。そこに彫刻群が2層に展示されています。子どもたちが多くて,幼稚園くらいの子どもたちが彫刻をスケッチ(写真2)。ぜんぜん似ていないのですがね。
写真2 子どもたちがスケッチ
 絵を展示する小部屋が両翼につらなり,おなじみの絵がたくさんありました。左翼の部屋から入るとミレーの「落ち穂拾い」です。そこにも子どもたちが床に座って先生の話を聞いて質問に答えていました(写真3)。あとはマネやらモネやら……。
 ルーブルより好きです。ルーブルはフランスの略奪品の展示場みたいで,古代エジプトやギリシャのものは母国へ返還すればよいと思いました。モナリザだってイタリアのものでしょう! まあ,捨てないで保存してくれただけ大したものなんでしょうが……。
写真3 ミレーの「落ち穂拾い」の前で授業
 5階が印象派。セザンヌ,ルノアール,シスレー,ピサロ,ゴッホ,ゴーギャンなど,多士済々の美術館でした。

* * *

 12時半から美術館のオーディトリアム(講堂)でコンサート。16ユーロのお手軽コンサート。でも,ここのコンサート。一流の人も出演するらしい。来年はトマス・ハンプソン,ギドン・クレーメルの名前が……。すごい! 行きたい!けど40ユーロと少し高い! 今日はパリオペラ座管弦楽団のメンバーによるピアノ四重奏。全部で2曲。
 まずはプレトーク(写真4)。フランス語はわからないって言ってるでしょ!
写真4 コンサートのプレトーク
 1曲目はグルックのソナタ。編曲版なのか,なんかしまりのない曲で,決まるところが決まらない。もしかしたら練習してないのかも……。
 2曲目はエルネスト・ショーソンのピアノ四重奏。はじめて聴く曲! おや? 出だしから音が違うぞ! 音に気持ちが入ってる。ショーソンはワグナー好きでフランクの弟子。この人の交響曲はフランク風だけど,ぼくは好きです。このピアノ四重奏曲もフランク風だけど,フランクのピアノ五重奏曲より熱っぽいけれど(演奏のせいかも),風通しのよい感じがします。気に入りました。
 お客さんは年寄り中心です。コンサートだけでも美術館に入れるのかな? 入場料が普通なら12ユーロ,コンサートは16ユーロ。弾き終わったら隣のジイサンが「ブラヴォー!」,あっちこっちから「ブラヴォー!」。本当なら「ブラヴィ!」。でも,アンコールはなし(写真5)
写真5 ブラヴィ!

* * *

 美術館を出たのが14 時ごろだったでしょうか。美術館横の通りをサン=ジェルマン=デ=プレに向かいました。最初のうちは骨董品や家具の古物商があり,かなり高そうな感じ。そのうち急に人が多くなったと思ったらサン=ジェルマン=デ=プレでした。
 セーヌ河畔に出たらそこはポンデザール橋。Pont des Artsで,ポンが「橋」,デが「の」,アールが「芸術」。フランス語は音がつながるので「ポンデザール橋」。意味はBridge of Arts「芸術の橋」。
 もともとは鉄製のただの歩道橋。有名になったのは橋の金網に錠前をつけることから。「愛の南京錠」といってイタリアの小説と映画からヒントを得て,物売りがここで鍵を売り出し,若い人たちや観光客がわれもわれもとくっつけ,橋の崩壊につながりかけた。それで2015年に金網を鍵ごと撤去し,ガラス板に変えてしまったそうです。重さは45トンもあったのですって!
 今日もしぶとい人たちがつけた錠前が橋の照明灯にくっついていました。この現象はケルンにも見られるそうで,それ用のフェンスがつくってあるそうな。神戸もあるらしいけど,それ用のフェンスではないから崩壊の危機らしい。
 この橋を渡ったら急に雨。またです。せっかくピカソ美術館に行こうと思ったのに,かなりの降りでコートがビショビショになるのでホテルに帰還。休憩しているうちに18時。晩ごはんをあさりに行きます。

おすすめのYouTube

 YouTubeでショーソンの「ピアノ四重奏曲」。「chauson piano quartet」で検索してください。
 「Ernest Chausson Piano Quartet in A major op.30」が比較的新しいものでケルンの人たちが演奏しています。
※紹介したYouTubeが削除されていることがあります。

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