2019年8月号掲載
物見遊山のフラヌール または聴かずに死ねるかクラシック その18
中木 高夫 看護ウォッチャー 
パリ⑦

今日はピカソ美術館からポンピドゥーセンターへと巡るDr. NAKAKI。ピカソが描いた「ドン・キホーテ」の絵皿でパスタを食べるのが夢だという小説家もいました。すてきな作品を追体験させていただき,感謝感謝ではじまります。


11月29日(水)
 パリ8日目。昨日のオルセー美術館の展示がピカソで終わっていたので,今日はピカソ美術館に行きます。近所から乗れる地下鉄1 号線のサンポール(St.Paul)で下車。10時半開館なのでゆっくりです。年寄りばかり10人ほど入口付近にたむろしていました。ここのセキュリティチェックはバッグのなかをチラッと見せるだけでした。なかに入ったら,館内は暖房が効いているのでクロークにコートをあずけます。ルーブルとオルセーで学習しました。クロークルームはフランス語でヴェスティエイル(vestiaire)。でもハンガーの絵案内があるのですぐに見つかります。
写真1 展示のテーマの絵
 軽装になって展示室に入ったら全部ピカソ。あたりまえですが……。ぼくは昔からピカソが大好きなんです。京都市美術館で「ゲルニカ展」があったときにショックを受けました。このときはゲルニカだけでなく,そのスケッチからひっくるめての展示でした。そのとき特設展で日本人画家の馬の絵も展示しているところがあったのですが,舌を突き出しているピカソの馬のほうが生きているので驚きました。国立ピカソ美術館は,ピカソが自分の持っていた絵を全部寄付したものが中心らしいです。略奪でなくてよかった。ピカソはどれを見ても飽きません(写真1)。どれもこれも気に入りましたが,なぜかゲルニカへの言及はありませんでした。ゲルニカについては原田マハ『暗幕のゲルニカ』が面白い! ミュージアムショップでおみやげを買いました。

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写真2 ピカソ美術館の外観(裏側の公園から見たところ)
写真3 ポンピドゥーセンターの外観
 ピカソ展でいい気分になって,次はポンピドゥーセンター。新しい文化の中心をつくろうということで,現代アートの美術館,大きな図書館などの複合施設です。重さを支える柱などの構造物や共用部分の電気・水道・空調などの配管,階段・エスカレーターをすべて外部に出してしまっているので,内部は広々とした空間となりました。ピカソ美術館(写真2)が重厚な建物に対してこちらはいつまでも建築中のような印象を与え(写真3),逆のほうがに合っている感じです。ここのセキュリティチェックは金属探知機が何台もあってスムーズでした。
写真4 マティス
写真5 モディリアーニ
 展示はマティス(写真4)からはじまって,モディリアーニ(写真5),ルオー(写真6),ブラックとピカソ(キュビズムで写真をとったのですが,どちらがどちらやら),カンディンスキー(写真7),クレー(写真8),ジョン・ケージ(写真9),などなど,アンディ・ウォーホールあたりまでは感心しながら,でも頭が飽和状態になり,だんだんしんどくなってきました。なかにはこの展示室はてんかん発作を誘発することがあるので注意しろというのもあります。
 このあたりで1960年代までです。これから先は別のフロアですが,かなりまいったので適当に流しました。なにしろパフォーマンス芸術なんてのも展示しようとしているのですから。
 ついでに図書館も寄ってきました。大きな空間に老若男女がずらっとコンピュータを使っています。そういえば本を読んでいる人は見かけなかったなあ。図書館としては,前のリシュリューのほうが趣があってよいと思いました。ジャン・エシュノーズという人の展示をしていました。『ラヴェル』(みすず書房)という日本語の本も展示されていました。
 このあとはマレー地区をうろうろして,デパートの前に地下鉄への通路を見つけたので,地下鉄を利用してホテルに帰還しました。
 疲れた!

写真6 ルオー
写真7 カンディンスキー
写真8 クレー
写真9 ジョン・ケージ(この人は作曲家として名前を知っていたのですが,絵まで描いていたとは驚きです)

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